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社会的養護のアフターケア事業における支援事例【3】〜NPO法人えんじゅのお取り組み〜

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2022年の児童福祉法改正によって、アフターケア事業の対象者が広がることになりました。

「社会的養護の措置解除者(退所者)」から、「社会的養護経験者“等”」へ。虐待経験がありながらもこれまで公的支援につながらなかった人たちも、事業の対象に含まれることとなりました。

そこで今回は、その変化に合わせて活動を展開されている、社会的養護のアフターケアに取り組む団体で構成する全国ネットワーク「特定非営利活動法人えんじゅ」の理事長 高橋亜美さん、副理事長 矢野茂生さんに、活動の想いや法改正によって変わってきていること、今後の展望などについてお伺いしたお話を全6回の連載形式でお届けしています。

前回の記事はこちら

第3回の今回は、2022年の児童福祉法改正を受けて国の制度が変わっているところに関連してお話をお伺いしていきます。

この度の法改正を受けて、矢野さんは改めて変化をどのように捉えられていらっしゃいますか?

えんじゅの足元として、法改正で1番大きかったのは、とにかく「等」がついたっていうことですね。アフターケア事業っていうのが、その児童福祉法の中に入っていったっていうことがまず1つです。  

 

あとは、対象者に「等」がついたっていう、 だんだんくくらなくなってきたんだなっていうのは、すごくありがたかったですよね。

 

そして法改正全体と自立のところを見ると、やはりまだまだというか。 

 

元々ケアリーバーだけじゃなくて、若者支援施策っていうのがこの国は非常に弱くて、 18歳までは結構たくさんの制度や法律が並んでて、たくさんの縄張がひしめいていますけども、 18歳以降の部分については、やはり成人法も相まって、かなりその若者っていう時期の部分の政策みたいなものが非常にまだ薄いなというふうに思ってます。

 

それこそ居住だとか就労だとか、スポットでちょっとずつ出てきてるものがあるんだけど、 僕は今回の法改正が1番見なきゃいけないのは、「それでもやっぱり若者の部分の政策はない」というところだと捉えています。 

 

それで若者たち、もしくはそのケアリーバーも含めてですけども、やっぱりそこを包括的にこうサポートできるような政策の立案っていうのは、今後とても大事じゃないかなという風に思っています。 

 

元々働くっていうところ、国の労働施策に僕らもチャレンジしているんですけど、労働の政策が1つはどうやって 個人に能力をつけていくのか、 もう1つはどうやって社会からの求人を出してマッチングするのかという、マッチングアプリのような施策が主流だと僕は思っているんです。   

その川の流れの主流から、障害者の雇用とかa型、b型とか、そういう大きな流れの中には乗らない人たちっていうのが支流でちょっとずつあるのはあるんですけど、 労働施策の中に、やっぱりそうやって親を頼れないとか困難な状況でずっと生きてきたんだとか、虐待のすごい後遺症を抱えて頑張ってるんだっていうような、いわゆるパン、パンと国が簡単にラベリングできる人たちを主流に置いて、なかなかそのラベリングが難しい人たちが本流の中に多分相当数いると思うんですよね。   

 

この相当数の部分を考えると、その本流の中に「どうやって働くか」=労働 だけじゃなくて、社会に参加していく仕組みを自立と捉えるのならば、参加のフレームをどう作って、その参加のフレームが多様にあれば、個人のスピードで自立していけばいいよねって思ってます。  

  
その参加するためのメニューと、その中でミスマッチだったら、次の仕組みがあるよ、次の仕組みがあるよっていう風に、 本流に労働政策やたくさんの仕組みを作ることが大事だなっていうことを思っています。 

だから参加するっていう、参加しようぜっていうところをどう作るかなっていうことが大事かなと思っています。 

矢野さん、ありがとうございます。

「参加」という言葉がとても印象的で、自立を支えるキーワードにもなっているように思います。

次回は高橋さんにも、法改正を受けて変化をどのように捉えていらっしゃるか、お話をお伺いしていきます。